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- コラム
【第13回】高橋良輔の言っちゃなんだけど
『言っちゃなんだけど……その13』
前回のアミダくじの、いや選択と決断の続きです。
声帯のポリープ除去を勧められた。人生初めての入院と全身麻酔。
「ま良く考えてください。切るのはここでも(大阪鉄道病院)東京でもいいですよ。東京でしたら紹介状を書きます」
とのたまわれた。選択と決断には助言が必要だ。で、糟糠の妻に、糟糠の妻ですよ糟糠の妻! 結構難しい言葉を使うでしょうハハ。その50年も連れ添った糠みそくさい妻に、
「切るも切らぬも五分五分みたいなんだけど、どうしよう?」
と相談したら、
「速いほうがいいんじゃない。私は大阪でもこっちでもいいから」
とあっさり促された。
「まぁ…そうだな」
と決断の方はついたのだが、選択の方に迷いが出た。つまり大阪がいいかこっちがいいか。馴染んだ先生にやってもらうのがいいか、セカンドオピニオンなんて言葉があるくらいだからこっちでもう一度診てもらってひょっとして、
「切らなくていいんじゃないの、この程度」
なんて診たてが出るかもと期待したり……。なんだかんだで一ケ月もグダグダしたあげく、
(モロモロ先生に相談してみよう。やさしそうだし)
てなことで再び鉄道病院へ。そうしたらなんと! なんとですよ!
「あら高橋さん、このあいだより調子いいみたいですね、声がよく出てるじゃないですか。この調子ならもう少し様子見ましょうか?」
なんてなんて優しい声でのたまわれるのですよ!! あたしら間髪を入れず、
「は、はい!」
否やはありませんや。即断即決、しばらくの間様子を見ることを選択! いやこの場合決断! いやどっちだ!? ま、どっちでもいいのそんなことは! とにもかくにも切るのも入院も延期延期! しばらくは大きい声も強いお酒も控えま――すっ!
人生選択と決断の連続だが慎重さも必要かと、拙速はいかんよ拙速は。ちなみに担当医はNさんとおっしゃる年の頃なら40デコボコほんに優しい美人さんであります。