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「描く人、安彦良和」開催記念上映『クラッシャージョウ』アフタートークレポート
兵庫県立美術館で開催中の「描く人、安彦良和」の開催を記念して安彦さんの初監督作『クラッシャージョウ』のアフタートーク付き上映が、6月9日(日)に109シネマズHAT神戸にて行われました。
上映後ということで、映像を見た興奮の熱気が残る中、安彦良和監督、原作者の高千穂遥さん、アルフィン役の佐々木るんさん、兵庫県立美術館の学芸員小林公さんが登場しトークがスタート。
安彦さんが原作小説の挿絵を担当された経緯が紹介されました。
高千穂さんは「小説の担当編集にイラストをどうするか聞かれ『安彦良和という人がいまして、私は彼が描くキャラクターを思い浮かべて書いていたのです。なので彼じゃないと困るんです』と言いました」と執筆時から安彦さん一択だったことを明かしました。 安彦さんに「小説の画を描いてもらえませんか」と言ったら「嫌だ」と即答されたそうです。
安彦さんは「アニメーターの絵なんてのは、パパっと描いて、それがセルになって、テレビ画面で流れて、それでおしまい。そもそも世に残すものじゃないんだ。だから(小説として)印刷なんかして残ったら困る」と一度は固辞しましたが、同じサンライズで働く制作スタッフから「ウチの旦那が小説を書いたから挿絵描いてくれない?」と言われ高千穂さんの奥さんとは知らず、即OKしたとのこと。
その後も、ペン入れ未経験の安彦さんのため、画稿を鉛筆描きでOKにしたり、スクリーントーンの貼り方を教えるなど、アニメーター・安彦良和のイラストレーターや漫画家としての才能は高千穂さんの挿絵起用によるところが大きいと明かされました。
小林さんからは、安彦さんが高校時代に暮らした北海道の住まいで保管されていた、中学校時代に描かれた勉強ノートや、安彦さんが普段出入りされていない倉庫にあったダンボール30箱くらいのなかから出てきた『クラッシャージョウ』のキャラクター・ラフの前段階のラフ画を、これは凄いということでぜひ展覧会で紹介しようとなり、お宝画稿も展示されていることが語られました。
佐々木さんからは「描く人、安彦良和」の会場を入ったところにある子どものころに安彦さんがこういうところで描いていたんだなと言うのが伝わってくる、子供用の座り机をぜひ見て欲しいとコメントされました。
最後に入場者による登壇者の撮影タイムもあり、アフタートークは盛況のうちに終了しました。
109シネマズHAT神戸では「描く人、安彦良和」の開催期間中に安彦良和監督の作品が上映されます。
詳しくは109シネマズHAT神戸のサイトでご確認ください。
また、「描く人、安彦良和」は9月1日(日)まで兵庫県立美術館で開催されます。
こちらも兵庫県立美術館のサイトでご確認ください