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作品名 | 聖戦士ダンバイン |
作品名 (ひらがな) | せいせんしだんばいん |
Title (英語表記) | AURA BATTLER DUNBINE |
放送開始 | 1983年2月5日 |
放送終了 | 1984年1月21日 |
話数 | 全49話 |
スタジオ | 第2スタジオ |
主題歌 | OP 「ダンバインとぶ」 歌/ MIO ED 「みえるだろうバイストン・ウェル」 歌/ MIO |
音楽配信リンク | 聖戦士ダンバイン オリジナル・サウンドトラック 総音楽集 |
関連リンク | http://www.dunbine.net |
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キャスト
ショウ/中原 茂
マーベル/土井美加
ニー/安宅 誠
バーン(黒騎士)/速水 奨
ガラリア/西城美希
チャム/川村万梨阿
キーン/高田由美
リムル/色川京子
ドレイク/大木正司
トッド/逢坂秀実
ミュージィ/横尾まり
ショット/田中正彦
ナレーター/若本紀昭 -
スタッフ企画/日本サンライズ
原作/富野由悠季
矢立 肇
キャラクターデザイン/湖川友謙
メカニカルデザイン/宮武一貴
美術/池田繁美
作画監督チーフ/湖川友謙
撮影監督/斉藤秋男
編集/井上編集室、布施由美子
録音監督/藤野貞義
音楽/坪能克裕
総監督/富野由悠季
プロデューサー/森山涇( 名古屋テレビ)
大西邦明(創通エージェンシー)
中川宏徳(日本サンライズ)
ヒロイックファンタジーアニメの先駆となった異世界ロボットアクション
【ストーリー】
海と大地の狭間にある異世界バイストン・ウェル。この世界に、地上から「聖戦士」として招喚された少年ショウ・ザマは、生体エネルギー「オーラ力」によって作動するオーラ・バトラー、ダンバインを駆り、仲間たちとともに覇王ドレイク・ルフトの軍勢と戦う。戦乱は、バイストン・ウェルの多くの人々の運命を巻きこみ、さらにはショウたちの故郷である地上世界にまで拡大してゆく。ショウは、数々の試練を超え、戦士としての宿命と対峙してゆくことになる……。
【解説】
1980年代初頭では新鮮だった、ヒロイックファンタジー風の異世界を舞台とする異色のロボットアニメ。宮武一貴、出渕裕らによる、騎士の鎧と生物のイメージを併せ持つオーラ・バトラーや湖川友謙による独特の艶のあるキャラクターの造形、親子や男女の愛憎の確執を絡めた戦史劇的なストーリーなどが、注目を集めた。また、異世界描写ばかりでなく、放送後半では、地上界の現実の国家勢力や現用兵器も登場し、当時のリアルロボットアニメ路線をも取りこんでいる。
バイストン・ウェルの人間と地上の人間、小妖精のようなフェラリオ、オーラ・マシンなど、独特の人物とメカが描かれた。
(※メカ設定の1メット=約1メートル、1ルフトン=約1トン)
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ショウ・ザマ
日本人の少年。18歳。ドレイクによってバイストン・ウェルに招喚されたが、これと敵対するゼラーナの仲間に加わり、戦士として成長をとげてゆく。
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チャム・ファウ
ニーたちに協力するミ・フェラリオ。身長30センチ程度。ショウになついて行動をともにする。無邪気で奔放な性格だが、たびたびショウの危機を救う。
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ダンバイン
生体エネルギー「オーラ力」によって動くマシン。後半ではマーベルが使用。剣と四連装オーラショットが武器。全高6.9メット、重量4.4ルフトン。必要オーラ力10。
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ビルバイン
「ナの国」の女王シーラ・ラパーナがショウに与えた新型オーラ・バトラー。ウイング・キャリバー形態(左)に変形。全高8.8メット、重量8.6ルフトン。必要オーラ力14。
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マーベル・フローズン
アメリカ中西部出身の地上人。行動的な女性で、ゼラーナを率いるニーと行動をともにしている。次第にショウとの間に戦士としての絆を深めてゆく。
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ニー・ギブン
ショウたちを率いる、オーラ・シップ・ゼラーナのキャプテン。ドレイクと隣接する領主の家に生まれ、父とともにドレイクの野心に反旗を翻した。
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キーン・キッス
ギブン家に仕える家臣の娘。まっすぐな性格で、ニーに思いを寄せている。オーラ・バトラーを支援するウイング・キャリバー、フォウなどの操縦を担当。
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ゼラーナ
ダンバインほかのオーラ・バトラーを搭載するオーラシップ。小型艦ながら強力。全長52メット、乾重量132ルフトン。必要オーラ力15。
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ドレイク・ルフト
「アの国」の地方領主。地上人ショット・ウェポンの協力でオーラ・マシンを開発して、バイストン・ウェル征服に乗り出す。
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リムル・ルフト
ドレイクの娘だが、ニーに思いを寄せ、父に反発している。のちに父のもとを逃れ、ゼラーナのクルーと行動をともにするが、連れ戻されてしまう。
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ショット・ウェポン
アメリカ出身の地上人。かつて地上で辛酸をなめ、バイストン・ウェルと、ひいては地上の征服を企む。
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バーン・バニングス
ドレイクに仕える騎士。ショウたちに敗れ、一度姿を消すが、のちに強大な悪意のオーラ力を持った「黒騎士」として、ショウたちの前に立ちふさがる。
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ズワァース
ショットが開発した最後のオーラ・バトラーで、黒騎士ほかが使用。高度な運動性能を持つ。全高7.9メット、重量7.6ルフトン。必要オーラ力10。
「バイストン・ウェルの物語を覚えている者は、幸せである」。オーラの力の数奇な導きのもと、ある者は力を求め、ある者は愛し合いながらも引き裂かれ、ある者は憎しみの中で散り、そして、人々は皆、各々の魂の故郷へと帰還していった……。
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モトクロスライダーをめざすショウは、エ・フェラリオのシルキー・マウによって、地上界からドレイクの城へ召喚される。
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ショウは、同じく地上人のトッド(右2人目)、トカマク(右端)とともに、「聖戦士」としてオーラ・バトラーに乗って戦うことを命じられた。
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だが、ショウは、ダンバインに乗って交戦した相手のマーベルから諭され、ドレイクのために戦うことへの疑問を覚える。
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父親に反発するリムルは、恋するニーにオーラ増幅器の設計図を渡そうとするが、バーンたちの手によって連れ戻される。
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戦闘の最中、ショウは敵ガラリアとともに地上界に出てしまう。地上では、オーラ・マシンはおぞましい破壊力を発揮した。
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ショウの母チヨ(左)は、オーラ・マシンで地上に大被害を与えるショウをわが息子だと認めようとせず、銃で撃とうとさえする。
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ショウが「嵐の玉」の中で救った謎の少女は、ドレイク陣営と敵対する、大国「ナの国」の女王シーラ・ラパーナ(左)だった。
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ドレイクと敵対する「ラウの国」のフォイゾン王は戦死した。その孫娘エレ・ハンム(中央)は、悲しみを超え、国民を率いることになる。
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ドレイク軍総攻撃の中、ダンバインを大破させられてしまったショウは、シーラの贈った新型機ビルバインを手に入れる。
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ビルバインを手に入れたショウを襲ったドレイク軍でひときわ異彩を放つのは、「黒騎士」の駆るズワァースだ。
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フェラリオたちの主ジャコバは、バイストン・ウェルに禍(わざわい)をなす、すべてのオーラ・マシンたちを、地上界へと追放した。
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「やらせないよ!」強大なジェリルの憎しみのオーラ力の前に、小さなチャムはそう叫んで立ちふさがった。彼女の思いが通じたのか、ショウは九死に一生を得る。
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ハイパー化、それは憎悪のオーラ力の具象化だ。女戦士ジェリル・クチビの駆るレプラカーンは、彼女の心のままに巨大な姿にハイパー化し、ショウに襲いかかる!!
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地上界に浮上したドレイク軍を抑えるため、シーラは、同じ「王」たる者として、地上の英国女王に協力を依頼する。
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「いい夢を……見せてもらったぜ」、ショウを敵視し続けたトッドは、ハイパー化で力を使い果たし、そうつぶやいて散った。
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「バイストン・ウェルへ帰りましょう」、黒騎士の悪意のオーラ力を受け止めたエレの遺骸を抱え、エイブ艦長(右)は言った。
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戦いを終わらせるため、シーラは、自らの率いる巨艦グラン・ガランを、ドレイクの操るウィル・ウィプスに特攻させる。
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「俺は、人は殺さない。その怨念を殺す!!」、ショウは、自らバーンに剣を突きつけ、すべての戦いに決着をつけさせた。
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戦いのあと、一人残ったチャムは、地上人たちにすべてを語った。そしてある月夜、どこかへと去っていった……。
バイストン・ウェルは、地上界での死者の魂が行き着く安息の場所である。そこは、高次元の魂を持つ、妖精のようなフェラリオの世界、一般人の住むコモン界、闇の住人とされるガロウ・ランの世界の3つの階層からなる。
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丘の上に立つドレイク・ルフトの居城。多数の人間が住むコモン界は、中世ヨーロッパ風の情景で、古い石造り建築が多数存在する。
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オーラ・バトラーなどが造られる兵器廠。通称「機械の館」。近代的な工場のイメージと、中世の職人の工房のイメージとを併せ持つ。
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フェラリオの中でも上級のエ・フェラリオたちが住む領域は、バイストン・ウェルの最上層にあり、地上界の海中と接する。
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強獣のルグウと戦うダンバイン。コモンやガロウ・ランの住む領域の一部には、強獣と呼ばれる数々の巨大な怪物も存在する。
幻想と現実とが交錯した世界観
今日でこそ、日本でもヒロイックファンタジーはおなじみだが、家庭用ロールプレイングゲームなどを通じてこれが広まったのは、この『聖戦士ダンバイン』放送終了後の1980年代後半以降だ。ゆえに、本作品はまずヒロイックファンタジーアニメの先駆と評価される。だが、フェラリオやオーラ・マシンなどの異世界描写だけでなく、ドレイクの国盗りの政略や、主従の信義、王族や騎士の誇りなど、近代以前の「高貴さ」という価値観が生きている世界を描く、大河歴史小説のような魅力も大きい。
また、後半では、これと対照させるように、まさに冷戦時代だった、当時の米ソ両大国などの現実の国家勢力がリアルに登場した。本作品は、ただのファンタジーでもなく、伝統的価値観と現代を対置させ、TVの前の現実ともクロスオーバーする物語として、興味深い作品となっている。