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作品名 | 太陽の牙ダグラム |
作品名 (ひらがな) | たいようのきばだぐらむ |
Title (英語表記) | FANG OF THE SUN DOUGRAM |
放送開始 | 1981年10月23日 |
放送終了 | 1983年03月25日 |
話数 | 全75話 |
スタジオ | 第1スタジオ |
主題歌 | OP 「さらばやさしき日々よ」 歌/麻田マモル ED 「風の行方」 歌/麻田マモル |
音楽配信リンク | 太陽の牙ダグラム 総音楽集 |
関連リンク | http://www.dougram.net/ |
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キャスト
クリン/井上和彦
ロッキー/田中亮一
チコ/田中 崇(銀河万丈)
キャナリー/山田栄子
ビリー/梨羽雪子
ナナシ/緒方賢一
フェスタ/鈴木清信
ジョルジュ/千葉 繁
ハックル/小宮山 清
サマリン/宮内幸平
ラコック/仁内達之
フォン・シュタイン/蟹江栄司
ザルツェフ/屋良有作
デイジー/高島雅羅
リタ/川浪葉子
ナレーター/山内雅人 -
スタッフ
企画/日本サンライズ
原案/矢立 肇
原作/高橋良輔、星山博之
キャラクターデザイン/吉川惣司
メカニカルデザイン/大河原邦男
美術監督/中村光毅
美術設定/佐藤正浩(メカマン)(第43 〜75 話)
作画監督チーフ/塩山紀生
編集/鶴渕映画
音響監督/浦上靖夫
音楽/冬木 透
監督/神田武幸、高橋良輔(第1 〜31 話)
リアルな革命戦争を描いた政治・ミリタリー劇
【ストーリー】
地球連邦評議会議長ドナン・カシムが植民惑星デロイアの政変に巻きこまれた。息子クリンは父を助けにデロイアに渡る。父は無事解放され、騒動の主犯は捕らえられたが、植民星の実情に触れたクリンは、父の政策に疑念を持つ。ゲリラの指導者サマリン博士は、デロイア解放のシンボル的兵器ダグラムのパイロットに彼を指名する。決意を固め、連邦軍に接収されたダグラムを奪還したクリンは仲間たちと首都カーディナルを脱出。以降、連邦軍の横暴に対し神出鬼没のゲリラ活動を展開してゆく。新聞記者ラルターフは動乱の真実を求め、彼らを追った。
【解説】
高橋良輔・神田武幸両監督による初のロボットアニメは、連邦の維持に命をかける政治家の父と、デロイアの対等独立を掲げて解放戦争を戦う息子を描く、政治色・ミリタリー色の強い作品。高邁な理想を掲げるドナンと、民衆の今望む幸福を最優先しようと訴えるサマリンの思想対立。その下で利権に群がる者たち、そして権力の毒に冒された亡者たち。様々な人々が求め合い殺し合って紡がれた圧倒的なドラマは、ハードな展開と硬質な描写が高い人気を呼び、放映期間が延長され、単体のサンライズオリジナル作品としては最長の6クールとなった。
戦車にかわる歩行陸戦兵器コンバットアーマーのある未来世界でありながら、20世紀中葉を想起させる伝統的衣装をまとう登場人物たちや綿密な兵器運用で、今まさに視聴者の隣で起こっている事件のようなリアルさが醸し出されていた。
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クリン・カシム
地球連邦の政治家の家に生まれながらも、父と決別し、デロイア独立戦争に身を投じた多感な少年。
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ダグラム
固定装備以外に、大型のリニアカノンを備えたターボザックを装備。デロイア人によって開発されたXネブラ対応型の単座陸戦兵器。ボナールでの量産計画が政変で頓挫し、現状は試作機ただ1機のみ。運用するゲリラ部隊、太陽の牙の名とともにデロイア解放運動の象徴的存在となる。全高9.63メートル。
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太陽の牙(デロイア7)
地球帰りのデロイア人の若者ロッキー・アンドルをリーダーとするゲリラ組織。ダグラムを奪還した地球人クリン・カシムと合流し、以降多くの作戦に参加。解放軍結成後は解放軍遊撃隊として活躍。彼らを追う新聞記者ラルターフにより「太陽の牙」と命名された。
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ドナン・カシム(右) ヘルムート・J・ラコック(左)
デロイアを地球連邦に留めることに奔走するあまり、ドナンはラコック補佐官の策謀を関知できなかった。
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フォン・シュタイン
デロイア独立を訴えたがそれはドナンと組んだ計略で、連邦8番目の州、デロイア州の代表となり、ゲリラ狩りを徹底した。
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クラブガンナー
最初に実用化された四足歩行コンバットアーマー。
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ラウンドフェイサー
ソルティック社製コンバットアーマー。初の二足歩行機体だが、Xネブラ現象のためデロイア星では充分な威力を発揮できない。兵士たちは当初、単に「ソルティック」と呼んでいた。
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コンバットアーマー
戦車に代わるものとして開発された兵器の総称。不整地走破性に優れ、あらゆる地形での作戦行動が可能だが、運用時間に制限がある。
クリンの降り立った惑星デロイアは、今、動乱期にあった。権勢と利権に群がる人々、憤懣を溜めこむ民衆。フォン・シュタインの独立宣言に呼応した独立派を、ゲリラとして狩る連邦軍第8軍。デロイア州成立の真実を目の当たりにしたとき、少年は走り出した。
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父ドナンの危機にデロイアに単身乗りこむクリン。迎えるのはラコック補佐官とクリンの義兄である連邦軍のレーク・ボイド大尉。
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第8軍の司令官を暗殺したフォン・シュタイン大佐は、地球連邦評議会議長ドナン・カシムと密かに通じ、デロイアを州に昇格させる。
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デロイア州では第8軍による過度のゲリラ狩りが進んでいた。目前に展開する矛盾に苦しむクリンは父と談判するが正論に阻まれる。
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クリンはゲリラの指導者サマリンからダグラムのテストパイロットに推されるが、連邦軍が博士を捕らえ、ダグラムは接収された。
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サマリン捕縛の手引きをしたのではと疑われたクリンは、身の潔白を証明するためにダグラムを奪回。地球人でありながら、ロッキーたちと合流し、ともに戦いに身を投じることになる。
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行政官としてパルミナに赴任し、クリンたちと対峙したレーク。サマリンとの話しあいを実現させるが、決裂に終わる。
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たびたび太陽の牙を苦しめたザルツェフ少佐(右)が連邦軍内で失脚。かつての宿敵J・ロック(左)は、彼を解放軍に引き抜いた。
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ゲリラのリーダー格から今やラコックのスパイに転落したデスタン(奥)は、慕っていたリタを利用したあげく、勘違いから射殺する。
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新型のアイアンフット・ヘイスティ。ウルナ基地のデロイア人兵士蜂起により解放軍に合流、解放軍の主力コンバットアーマーとなる。
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ドガ市占領後のS.C.153年11月7日、デロイア解放人民政府が樹立された。ドナンは連邦軍第6軍の投入を決意するが、指示を出せずに倒れる。
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フォン・シュタイン政権の反撃は、海から始まった。海岸に迫る水中型コンバットアーマー、マッケレルを、太陽の牙が撃退する。
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クリンを追ってデロイアに渡った財閥令嬢デイジー・オーセルは、クリンの戦いを追う中で、自分の生きる道を見いだしつつあった。
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北極ポートを目前として軍は止まり政治が動く。独立承認とともに武装解除が宣言されるが、独立の実感とはほど遠いものであった。
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北極ポートでフォン・シュタインが死に、すべてを掌握したラコックは、後々利用できると見てクリンを瀕死のドナンと面会させる。
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デロイア独立の経緯に納得がいかない太陽の牙。若い彼らを救おうと駆けつけるサマリンは、瀕死の重傷を負う中で説得を試みる。
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デロイアの実権を握らんとするラコックをゆすろうと近づくデスタン。しかし寄生虫呼ばわりされて激昂し、ラコックを射殺した。
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デロイア治安軍に武装解除を命ぜられた太陽の牙。しかし、ダグラムを象徴として政治利用する姿勢に懸念を感じる彼らは、ダグラムを自らの手で爆破し、いずこかへと去った。若者たちはそれぞれ、次の道を歩み出す。そして砂漠には、朽ち果てたダグラムだけが今も残されている。
元来の電離層の乱れに加え、特殊な帯磁性のガス星雲、Xネブラ星雲に突入したデロイア星。そこは電波が届きにくくコンピュータの能力が限定されるという、近代兵器の運用や近代戦争のセオリーを一変させる、厄介な戦場だった。
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デロイア星の特徴である輪と二重太陽は、人民解放政府旗の意匠にも採用された、デロイア人にとってなじみ深い故郷の象徴だ。
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離層が不安定なデロイアでは、北極ポートが玄関口にあたる。北極ポートは、地球から派遣された連邦軍第6軍が守っていた。
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地球から224光年離れたスタフェラス星系第3惑星。二重太陽のため電離層に乱れがあり、電波の到達範囲が極端に短い。さらにXネブラ星雲のために近年はコンピュータの性能が極度に低下している。植民星とされて以来、地球への食料や資源の供給元であった。150年に及ぶ地球の搾取と圧政に対する反感から、独立の気運が高まっていた。首都はカーディナル。
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首都から遠いが、鉱物資源の宝庫で農業が盛んなパルミナ大陸は地球にとって重要な地。中核のドガ市で人民解放政府が樹立された。
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パルミナ・北極ポート間のカルナック山脈は天然の要塞。6000メートル級の山々が連なる。第8軍との間に激戦が繰りひろげられた。
輸送ヘリ、マベリック。陸戦兵器コンバットアーマーは空中輸送や陸送に際し多くの専用メカを用いる。丁寧な運用描写がミリタリーファンの心を掴んだ。
ミリタリー・テイストの商品連動
スポンサー、タカラのダグラムにおけるキーワードは「デュアル」だった。これはアニメとハイクオリティな玩具(プラスチックモデルや完成品「デュアルモデル」)を両輪として、戦記と兵器模型のように互いに補完して楽しむという提案で、その情報発信雑誌「デュアルマガジン」も創刊され、玩具情報と番組情報を両方扱い、高年齢層に人気を博した。直後のゲームブームで雑誌は休刊したが、アニメファンとモデラーを近づけたスタイルは、現在の模型誌・アニメ誌にも生き続けている。