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作品名 | ママは小学4年生 |
作品名 (ひらがな) | ままはしょうがくよねんせい |
Title (英語表記) | MAMA IS JUST A FOURTH GRADE PUPIL |
放送開始 | 1992年1月10日 |
放送終了 | 1992年12月25日 |
話数 | 全51話 |
スタジオ | 第2スタジオ |
主題歌 | OP 「愛を+ワン」 歌/益田宏美 ED 「この愛を未来へ」 歌/益田宏美 |
音楽配信リンク | ママは小学4年生 音楽篇 オリジナルサウンドトラック |
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キャスト
水木なつみ/こおろぎさとみ
みらい/吉田理保子
島村いづみ/伊倉一寿
ボビー/山崎たくみ
山口大介/高乃 麗
山口大平、夢谷紗利衣/林 玉緒
立花えり子/白鳥由里
花田英夫/山口勝平
花田ミドリ/京田尚子
森タマエ/丸尾知子
深沢龍一/篠原あけみ
マリオ・ヴィットーリ/金丸淳一
有森 湖/大谷育江
阿部野丸/沼田祐介
ツバメくん/巻島直樹
大川先生/茶風林
江地さん/永井一郎
水木浩三郎/田原アルノ
水木るり子/川島千代子 -
スタッフ
企画/サンライズ
原作/矢立 肇
キャラクターデザイン/神村幸子
アクセサリー・デザイン/夢屋(第14〜51話)
美術監督/西川淳一郎
デザイン協力/サブマリン、佐藤 元
カラーコーディネーター/水田信子
色彩設定/長尾顕子
撮影監督/桶田一展
編集/鶴渕友彰(鶴渕映画)
音響監督/浦上靖夫、小林克良
音楽/千住 明、神林早人、加藤みちあき
総監督/井内秀治
プロデューサー/前田伸一郎(日本テレビ)、佐川祐子(ASATSU)、指田英司(サンライズ)
SF的な小道具を投入した子育て少女のハートフルストーリー
【ストーリー】
水木なつみは小学4年生。親の仕事の都合で大好きなクラスメイトと別れて海外に引っ越すことになったが、その直前、信じられない事件が起こる。なんと15年後(2007年)の世界から、何らかの事故(?)で未来の自分の赤ちゃんがタイムスリップしてきたのだ。未来の自分から娘を託されたなつみは、その娘(みらい)が元の時代に戻れる日が来るまで、両親と別れ一人日本に残って「ママ」として子育てに奮闘することになる。秘密を知るのは叔母のいづみと、ケンカ友達の大介のみ。なつみは二人の協力と、クラスメイトの友情に支えられながらみらいの「ママ」として成長していく。そしてついに、みらいが元の時代に戻る日がやってきた。
【解説】
サンライズが手がけた初めての女子児童向け作品。『魔神英雄伝ワタル』に始まった一連の低年齢層向けシリーズの番組枠で放送され、監督にも『ワタル』を手がけた井内秀治が起用された。小学4年生の少女が、もし突然子育てをすることになったら……というシチュエーションを、タイムスリップという道具立てによって、視聴者に近い子供の目線から、コミカルかつエモーショナルに描いたのが本作の特徴である。放送にあわせ、小学館の少女漫画誌「ぴょんぴょん」で中森衣都による漫画版も連載された。また、SFファンからも評価され、1993年の日本SF大会では「星雲賞」メディア部門を受賞している。
15年後の未来からやってきた娘のみらいの育児に奮闘する主人公なつみと、彼女を取りまく同級生や大人たち。時にコミカルで、時にシリアスな人間模様が、シンプルでやわらかい描線によって表現される。
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水木なつみ
本編の主人公。夢が丘小学校4年生。おてんばで勝気な、バイタリティあふれる少女。タイムスリップ事故によって15年後から現代にやってきた未来の娘を育てることになる。
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みらい
15年後の未来からやって来たなつみの娘。まだ言葉を喋れない天真爛漫な乳児。
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島村いづみ
なつみの母の妹。20歳で独身。漫画家志望。当初は赤ちゃん嫌いでワガママな性格だったが徐々に保護者としての自覚を持つように。
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ボビー
水木家の飼い犬。他家に預けられても自主的に脱走して戻ってくるなど、なつみへの忠誠心が非常に厚い。15年後の未来でもなんと存命!
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水木絹代
なつみの祖母。水木家を突然訪問し、みらいの存在を知る。長年の経験を生かし、以降頼れるアドバイス役に。
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山口大介
なつみのケンカ友達。本当はなつみが好き。偶然秘密を知り、以降協力者に。豪放に見えるが名家に育った繊細な少年。
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森タマエ
なつみの親友。中華料理店経営者の娘。弟妹がたくさんいる大家族に育ったしっかり者。
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立花えり子
なつみの親友。繊細なお嬢様を思わせる清楚な美少女。見かけの通り内気で気弱なところがあるが、芯は強い。
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山口大平
大介の異母弟。複雑な感情を抱かれているとは知らず、兄にはよくなついている。みらいに気に入られ、何かとじゃれつかれる。
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江地さん
自称天才科学者。その頭脳は本当に天才だが、一般常識がなく世間からは疎まれている。タイムマシンの開発者。
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みらいの両親
15年後に暮らすみらいの両親、つまり成長したなつみとその夫。誰が夫になるのかについては、最終回クレジットでの「お楽しみ」になっていた。
突如、15年後の未来からタイムスリップしてきたみらいを育てることになった主人公なつみ。「ヒロインが小学4年生で母親役をこなす」という設定を十二分に生かすため、「大人」のキャラは最低限に抑え、あくまで彼女と同じ目線で状況に関わる子供たちをメインに、物語は展開していく。
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2007年、水木なつみは娘にも恵まれ、夫と幸せな生活を送っていた。だが、ある日予想外の事件が、彼女と娘を襲う。
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なんと15年前の1992年に、娘のみらいがタイムスリップしてしまったのだ。そしてそこには、当時小学4年生の過去のなつみがいた。
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ロンドンに転勤になった両親と別れて日本に残るなつみ。自分の手で未来の娘(みらい)を育てることを決心する。
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唯一の同居人、叔母のいづみは大の赤ちゃん嫌いである上に、家事についてはほぼ無能。なつみは覚悟を決めて「ママ」修行の道へ。
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技術的には未熟でも、母性愛に関してはすでに一人前の「ママ」並みのなつみ。そんな彼女のいちばんの安らぎは娘のやすらかな寝顔を見ること。
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15年後から送られてきた様々なアイテムが、まだ子供であるなつみの子育てを支援してくれる。
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遠足中のアクシデントをきっかけに、大介はなつみとみらいの秘密を知る。なつみが好きな大介は、以降何かと手を差し伸べるようになる。
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レギュラー陣以外では唯一みらいの秘密を知るなつみの祖母。タイムスリップについては理解していないようだが、頼れる存在に。
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コンパクトに続いて未来から送りこまれたフルート。特殊な仕掛けがしてあり、なつみが心をこめて吹くとみらいが泣きやむ。
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大介の弟の大平は、父が後妻との間に設けた異母弟。自分を捨てた母親と、新しい母親との関係に悩む大介だが、やがて葛藤を乗り越えていく。
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終盤、みらいの存在とその母親がなつみであることが「10歳の少女が赤ちゃんを出産」という悪意ある記事として取り上げられる。
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なつみはクラスメートにタイムスリップとみらいの秘密を打ち明ける。児童と教師たちが一丸となってみらいを守るために一致団結!
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ご町内の(自称)天才科学者、江地さんは自力でタイムマシンを発明!スキャンダルに晒されたみらいは彼とともに未来へ帰ることに。
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クリスマスの夜、みらいは未来に帰る。別れの瞬間、みらいは初めて言葉を口にする。「ママ――!」 そして、タイムマシンは15年後へ……。
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無事、15年後のなつみの元に帰ってきたみらい。なつみとその夫は笑顔で娘を迎え、江地との15年ぶりの再会を喜ぶのだった。
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みらいを未来に帰したなつみは母親とロンドンへ。第1話と同じ空港での別れのシーンだが、なつみも大介も大きく成長していた。
なつみの子育ての舞台となるのが、パステル調の色彩で広々とした雰囲気の水木家。育児という地道な日常の営みを、未来から来た不思議なアイテムの数々がサポートしてくれる点も、本作の世界観の特徴だ。
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物語の主な舞台となる水木家の全景。広々とした庭のある二階建ての一戸建てに、なつみ、みらい、いづみの3人が暮らしている。
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なつみの部屋。大人のいない自由さと、みらいを守る責任が共存する空間だ。ハシゴの上はロフトフロアになっている。
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江地さんが作り上げたタイムマシン。助手ロボットのツバメくんとともに、みらいを15年後の未来のなつみの元へと送り届ける。
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センサーでみらいの状態を察知し、おむつや医薬品、ミルク、アクセサリーなど、必要なグッズを出してくれるお世話バッグ。
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みらいと一緒に現れたコンパクト。離れていてもみらいの様子が映し出され、確認できる。まれに未来からの声が聞こえることも。
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みらいを泣きやませることのできる不思議な音色の出るフルート。しかし、みらいをなだめるとき以外には、一切音が出ない。
タイムマシンを開発する江地さんは、本作の素朴な意味での「SFらしさ」を一身に背負うキャラクターでもある。
サンライズ初の「星雲賞」受賞作
サンライズ初の女子児童向け作品となった本作は、意外な場での評価も受けた。1993年の日本SF大会において、年間で最も優れたSF作品を選出する「星雲賞」のメディア部門に選ばれたのである。タイムスリップというギミックを活用して少女の成長を描く「時間SF」としての着想とドラマ性が、強く支持されたためだ。それまでの歴代受賞作のほとんどが宇宙や異世界を舞台にしたスケールの大きなSF /ファンタジー作品である中、きわめて異例の事態だったと言えるだろう。そしてサンライズにとっては、初の星雲賞となった。以後のサンライズ作品では、『カウボーイ・ビバップ』や『プラネテス』といった宇宙SF作品が受賞を果たすことになるが、その皮切りが本作のような女児向け作品だったことは、なかなかに歴史の妙味を感じさせてくれる事実だ。