闇夜の時代劇 甚助の耳/幕末洛中瓦版

©サンライズ

作品名

闇夜の時代劇 甚助の耳/幕末洛中瓦版

作品名
(ひらがな)
やみよのじだいげき じんすけのみみ/ばくまつらくちゅうかわらばん
Title
(英語表記)
HISTORICAL DRAMA IN A MOONLESS NIGHT
発売日1995年8月2日
話数全2話
スタジオ新規事業部
  • キャスト

    〈甚助の耳〉
    村崎甚助/緒方賢一
    山田八右衛門/子安武人
    弥右衛門/秋元洋介
    かつき/天野由梨
    ナレーション/矢田 稔

    〈幕末洛中瓦版〉
    瓦版屋お駒/荒川美奈子
    沖田総司/子安武人
    近藤 勇/渡部 猛
    土方歳三/堀 之紀

  • スタッフ

    企画/植田益朗(サンライズ)
    音響/浦上靖夫
    音楽/工藤 隆
    プロデューサー/指田英司(サンライズ)

    〈甚助の耳〉
    作画/三輪孝輝
    監督・演出/高橋良輔

    〈幕末洛中瓦版〉
    作画/塩山紀生
    脚本・演出/今西隆志

ストーリー&解説

幻のコンピュータアニメ実験作

【ストーリー】
〈甚助の耳〉
諸国修行中の侍、村崎甚助重信は、立ち寄った村でもののけの噂を耳にする。その生贄に選ばれた娘かつきを守るため、若侍の山田八右衛門とともに、もののけ退治に乗り出す。

〈幕末洛中瓦版〉
幕末の京都で瓦版屋をしていた娘お駒は、ある雨の日に、偶然、新撰組の沖田総司を目撃する。以後、沖田を瓦版の記事にするため追いかける。

【解説】
TVスペシャル版『闇夜の時代劇』のビデオ化に際し、同時に発表されたTV未放送のエピソード。TVスペシャル版のエピソードと同様、製作にはコンピュータを駆使し、当時としては実験的な技術を多用した。実験作という位置づけもあり、史実上の人物のアレンジや、演出面などで、通常のアニメ作品ではなかなか見せられないクリエイター独自の趣向にも挑戦している。

キャラクター

一見、原画をそのまま取りこんだような絵柄ながら、デジタル処理による加工と独自の演出によって、味わいのあるキャラクターが生み出された。

甚助の耳

  • 村崎甚助

    村崎甚助

    独自の抜刀術を研究し、諸国修業の旅を続けている侍。五尺ほどの小兵で汚い格好だが、剣ではかなりの腕前を誇る。

  • 山田八右衛門

    山田八右衛門

    諸国修業中の若侍。美濃崎の屋敷で甚助と手合わせして敗れる。甚助に感服し、もののけ退治の先鋒役を甚助に譲る。

  • かつき

    かつき

    美濃崎の屋敷の娘。竹林に住む謎のもののけから、生贄に指名された。山田八右衛門と思いを寄せあうようになる。

幕末洛中瓦版

  • 瓦版屋お駒

    瓦版屋お駒

    瓦版屋の娘。沖田総司のことを瓦版の記事にするため、新撰組の行動を追いかけ、京都の街をさ迷うことになる。

  • 沖田総司

    沖田総司

    新撰組の一番隊隊長。天才的な剣士だが、なぜか女性を寄せつけようとはせず、その素顔は謎に包まれている。

  • 土方歳三(左)近藤勇(右)

    土方歳三(左)近藤勇(右)

    近藤勇は新撰組局長、土方歳三は新撰組副長を務める。京の街では派手に女遊びしているが、いずれも勇猛な剣士。

シーン

〈甚助の耳〉では、水彩画風の彩色でほのぼのとした民話風の雰囲気を表現。〈幕末洛中瓦版〉では、モノトーンを基調とし、本格的なチャンバラ時代劇のような殺陣シーンも取り入れられている。

甚助の耳

  • 美濃崎の屋敷の前で、山田八右衛門と対面する村崎甚助。両人はともに屋敷で接待を受け、もののけ退治を請け負った。

  • 美濃崎の娘かつきと山田八右衛門は思いを寄せ合うようになり、甚助は二人を見守りながら、もののけ退治の策を練る。

  • 甚助が竹林の中で対峙したもののけの正体は、かつて村人に狩られた落武者の亡霊だった。甚助は刀を折られ、危機に陥りながらも、山田八右衛門から受け取った刀でもののけを退治する。

幕末洛中瓦版

  • とある雨の日、お駒は偶然「沖田総司」と呼ばれる男が刺客に襲われる場面を目撃する。しかし、沖田はこともなげに刺客を返り討ちにして、静かに去っていった。

  • 新撰組を追いかけていたお駒は、町中で狐の面を被った不思議な男に助けられる。実は彼こそ沖田総司だった。

  • 沖田は労咳、すなわち肺結核だった。お駒は、沖田が女性を近づけなかった理由の一つが、病のためだったと知る。

WORLD

従来のアニメ技術と、コンピュータを利用したデジタル処理を効果的に組みあわせることで、通常のTVアニメでは見られない独自の雰囲気を持つ映像が作り出された。

普通に見える画面にもデジタル処理による独自の描画テクニックが満載

甚助の耳

  • 〈甚助の耳〉の原画は和紙を使って描かれた。あえてデジタル処理であることを感じさせず、普通のアニメに見えるよう撮影されている。

  • もののけの潜む不気味な竹林。手前の竹と、奥の風景とを巧みに合成し、カメラワークによって立体的な奥行きを感じさせている。

幕末洛中瓦版

  • 〈幕末洛中瓦版〉の雨のシーンでは、背景となる画面に、デジタル処理の雨を合成。さらに、不自然にならないように調節している。

  • 劇中に登場する絵入りの瓦版。本物の昔の瓦版のような筆描きの質感を再現しつつ、微妙に漫画的なアレンジが取りいれられている。