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【第43回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」
飛行機雲に誘われて……その43
前回は日本で一番高いビルの『あべのハルカス』に触れた。高さは確かにそうだが、通天閣と勝負をしたらどうなるんだろう?
「勝負ってなに?」
と聞かれるとあたしらも困るが、まあその~、どっちが全国的に有名かとか、愛されているかとか、味わいがあるかとかぁ~まあ、色々の点でぇ……、
「何わけのわからんこと言うてんの!」
とまあ叱られてもしゃあないなあ、ってあたしらもちょっと関西弁入ってまんねんハハ、インチキくさ。
訳の分からないことはともかく、あたしらが知ってる範囲内では"唄に歌われている"ってことなら通天閣が圧勝だなあ。あれもこれもこれもあれもと、指を折ることができる。あたしら新しい歌を知らないからハルカスが歌になっているかどうか知らない、知らないけど、でもあったとしてもまだ少ないんじゃないかな。歌があるってことはそこに物語があるってことだから……。ま、ジャンジャン横丁も足下にあるし浪花っぽい味が染みてるよね通天閣は、ビリケンさんもいるし。
あのあたりで飲んでいると、
「この通天閣は二代目なんやでえ、にいちゃん」
てなことを事情通に言われる。
「にいちゃんって誰があ!?」
と目くじらを立てない。事情通とはあたしらと比べてもそれほどの先輩ってことなんだから。んでぇ~先輩のおっしゃるには先代の通天閣は1943年に火事で焼け落ちたんだそうで、1943と言えばあたしらが生まれた年やおまへんか! んじゃあたしらは通天閣の生まれ変わりか! という気になってしまうやおまへんか、
「なんでそうなるの!?」
こういう事に理屈なんかありません。そういう気になるということです。
東京の浅草が何となく東京の一面を代表しているようなところがあるように、通天閣一体も何となく大阪を代表しているところが確かにある。でもどうなんだろう、浅草も通天閣もホントのところの代表は他にもう譲っちゃってるんだろうなあ。
さてさて今夜も天に灯が付く通天閣を見上げながら、ボチボチ行きますか。