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作品名

重戦機エルガイム

作品名
(ひらがな)
じゅうせんきえるがいむ
Title
(英語表記)
HEAVY METAL L-GAIM
放送開始1984年2月4日
放送終了1985年2月23日
話数全54話
スタジオ第2スタジオ
主題歌OP「エルガイム Time for L-GAIM」 歌/ MIO(第1 〜25話)
  「風のノー・リプライ」 歌/鮎川麻弥(第26 〜54話)
ED「スターライト・シャワー」 歌/ MIO
音楽配信リンク重戦機エルガイム BGM COLLECTION Vol.1
重戦機エルガイム BGM COLLECTION Vol.2
重戦機エルガイム BGM COLLECTION Vol.3
  • キャスト

    ダバ・マイロード/平松広和
    ファンネリア・アム/本多知恵子
    ミラウー・キャオ/大塚芳忠
    ギャブレット・ギャブレー/速水 奨
    ガウ・ハ・レッシー/川村万梨阿
    クワサン・オリビー/木下由美
    アマンダラ・カマンダラ/豊田真治(第1 〜42 話)
                堀部隆一(第43 〜54話)
    オルドナ・ポセイダル/島津冴子

  • スタッフ

    企画/日本サンライズ
    原案/矢立 肇
    原作/富野由悠季
    シリーズ構成/渡邉由自
    キャラクターデザイン/永野 護
    美術/池田繁美
    アニメーションディレクター/湖川友謙
    撮影監督/斉藤秋男
    編集/布施由美子(井上編集室)
    録音監督/藤野貞義
    音楽/若草 恵
    総監督/富野由悠季
    プロデューサー/森山涇(名古屋テレビ)
            大西邦明(創通エージェンシー)
            中川宏徳(日本サンライズ)

ストーリー&解説

多数の新機軸を組みこんだ正統派リアルロボットアニメ

【ストーリー】
ペンタゴナ・ワールド。二重太陽サンズを同一軌道で巡る5つの惑星で構成されたこの星系は、オルドナ・ポセイダルにより統一され連合国家となっていた。5つの惑星の一つ、コアムの辺境から立身出世と妹の行方を求め、親友のミラウー・キャオとともに都会へ出てきたダバ・マイロードは、ポセイダルの圧制に端を発する政治の腐敗やペンタゴナの現実を知る。反乱軍に合流したダバは亡き養父の残したヘビーメタル、エルガイムでポセイダル軍と戦い始めるが、それはやがてペンタゴナ全体を揺るがす動乱に繋がってゆく。

【解説】
前年の『聖戦士ダンバイン』の後番組となる富野由悠季監督作品。ファンタジー路線から一転して直球のSF作品となり、登場する巨大ロボットも機械的な「ヘビーメタル」となるなど、非常に正統的なリアルロボットものであると言える。その一方スタッフの育成が重要視された作品でもあり、多数の若手スタッフが起用された結果、ロボットアニメに新風を吹き込んだ作品としても評価されている。キャラクター・メカニック双方のデザインを担当した永野護を筆頭に、本作で抜擢され現在でも活躍を続ける人物は多い。

キャラクター

性能別にA ~ B級といった等級をもち、可動範囲とスタイルとを両立したヘビーメタル(HM)、ユニークなファッションが飾るキャラクターなど、従来にないハイセンスなデザインとなっている。

  • エルガイム

    エルガイム

    ダバの最初の愛機となるA級HM。ヤーマン製のHMガイラムを養父ダバ・ハッサーが改良したもので、量産化を見越した構造の簡略化が行われている。頭頂高20.7メートル(通常時)、本体重量19.1トン。

  • ダバ・マイロード

    ダバ・マイロード

    お人好しだが強い意思を持つ18歳の青年で、妹を探すために村を出た。実はヤーマン王家の生き残り、カモン・マイロード。

  • エルガイムMk-II

    エルガイムMk-II

    奪取した試作A級HMアモン・デュールをエルガイムの技術や発掘した部品で改装した機体。高速・長距離の移動を可能にするランド・ブースターへの変形能力を持つダバの2番目の愛機。頭頂高22.3メートル、全備重量36.8トン。

  • ミラウー・キャオ

    ミラウー・キャオ

    ダバの幼なじみ。ポセイダル軍に志願し出世することが目的だったが、ダバに付き合い反乱軍に。優秀なメカマンでもある。

  • ファンネリア・アム

    ファンネリア・アム

    盗賊の一員だったが、エルガイムを獲物に狙ったことから紆余曲折を経て腐れ縁に。演技力とバイタリティあふれる17歳。

  • ガウ・ハ・レッシイ

    ガウ・ハ・レッシイ

    ポセイダルの親衛隊である13人衆の一人だが、ダバに出会って行動をともにする。意地っ張りだが脆い面もある。

  • ギャブレット・ギャブレー

    ギャブレット・ギャブレー

    ダバのライバルとなる20歳の青年。盗賊や正規軍の各部隊を流転しつつダバと対決するが、やがて共感するようになる。

  • リリス・ファウ

    リリス・ファウ

    核で滅んだ有翼種族ミラリィの生き残り。見世物小屋から救われて以降、健気にダバの世話を焼こうとする。

  • オルドナ・ポセイダル
  • オルドナ・ポセイダル

    オルドナ・ポセイダル

    ペンタゴナを支配する絶対権力者。バイオリレーションで永遠の命を保っており、年齢は68歳。実は影武者である。

  • オージ

    オージ

    オリジナル・オージェとも呼ばれる真のポセイダル専用HM。首都スヴェートの施設からエネルギー供給を受けるため、圧倒的な出力と強力なバリヤーを持つ。

  • アマンダラ・カマンダラ
  • アマンダラ・カマンダラ

    アマンダラ・カマンダラ

    正規軍・反乱軍双方に武器を売る死の商人。正体はポセイダルその人で、ペンタゴナの影の支配者として君臨する。

シーン

コアムの辺境から出てきたダバ・マイロードは、混乱と腐敗に満ちたペンタゴナの現実を目撃する。幾多の出会いと事件を通じ反ポセイダルを志したダバはいつしか反乱軍のリーダーとなり、仲間たちの協力を得てペンタゴナ解放を成し遂げる。

若者たちの出会いが時代の流れを変えていく

  • エルガイムを狙い行き倒れを装うアム。彼女の演技にキャオは簡単に騙されるが、車内で眠っていたダバにより盗賊は返り討ちに。

  • ダバたちの朝食を盗み食いし、文句までつける初登場時のギャブレー。この後ヘビーメタル戦になり敗北、借金で購入した機体を失う。

  • アムとレッシイの喧嘩。この二人の(主にダバをめぐる)対立は、ストーリー中の重要なエッセンスとして何度も繰り返されている。

  • 人質として出会ったレッシイは、正規軍に事実上見捨てられたことからダバたちと合流。女の命である髪を切ることで信用を得た。

  • エルガイムのパワーランチャーの直撃を受け破壊されるポセイダル像。この行為によりダバは反乱軍のシンボル的な存在となる。

  • 半ば成り行きでガストガルの首都スヴェートに強行侵入し、巨大なポセイダル像に攻撃を仕掛けるエルガイム。ダバが衝動的に行ったもので、彼の志はこの時に完全に固まった。

  • 故郷ミズンに帰還し、大地に感謝するダバ。この時にカモン・マイロードと名乗って以降、名実ともに反乱軍のリーダーとなっていく。

  • スヴェートでの最終決戦時、アマンダラ・カマンダラ(=真のポセイダル)自身が搭乗しダバのMk-IIを圧倒するオージ。やがて戦争はヘビーメタル同士の戦闘にもつれこむ。

  • ポセイダルの影武者ミアンの裏切りによって、オージのエネルギー源でもあるバイオリレーションシステムを停止させる。

  • オージに首を飛ばされるMk-II。ミアンによるバイオリレーション停止とギャブレーの協力によって、ダバは辛うじて勝利する。

  • ポセイダルは倒れたが、13人衆の一人ギワザ・ロワウ率いる正規軍の内乱勢力が残っていた。Mk-IIからエルガイムに乗り換えたダバは、漁夫の利を狙うギワザ艦隊を殲滅する。

  • 妹のクワサン・オリビー(右)を連れ、コアムへ帰るダバ。残る一生を、正気を取り戻せず廃人となってしまった妹とともに過ごすために。

  • 故郷に帰るダバを見送る反乱軍たち。これからのペンタゴナは、彼らが中心となって復興され、新しい社会を築いていくことになる。

成し遂げた解放と、新しい世界の建設 しかしダバは別の道を歩む

WORLD

ガストガル、ファ、トライデトアル、コアム、ミズン。ペンタゴナはこの5つの惑星で構成される。同一軌道を公転し距離も近いため行き来は容易で、それぞれに特色を持ちながらも緊密な関係を維持している。

5つの星にまたがるペンタゴナ・ワールド

  • ガストガルは現体制の中心となる古い星で既に陸地の崩壊が始まっている。ファは大気が地表近くにしか存在しないほぼ無人の星。

  • トライデトアルの山岳地域。ガストガルほど都市化は進んでいないが、ヘビーメタルに通じた技術者が多く、高い工業水準を持つ。

  • コアムは荒涼とした風景が広がる星で人口密度も低い。ダバとキャオが育ったのはコアムでも片田舎にあるウーゴル村である。

  • ミズンの森林地帯。本来は豊かな星だが前大戦で焦土と化した土地も多い。ガストガルから遠いこともあって、反乱の機運は高い。

  • ガストガルの首都スヴェート。ポセイダル像を中心に建設された人工都市で、海面下にはバイオリレーションシステムの本体など、都市部を上回る規模の機関部が隠されている。

  • エルガイムのコクピット。ダバの乗るホバー駆動のバイク「スパイラルフロー」が、操縦席の「フロッサー・シート」に変型して収納される。周囲の壁面は全天スクリーンになる。

肩の装甲を外したHM。装甲が破壊されてもムーバルフレームが無事ならば継続して活動可能。

メカデザインの常識を変えた作品

永野護の手によるヘビーメタルのデザインは、後のロボットアニメに大きな影響を与える要素が多数含まれている。主要なものではムーバルフレームという駆動部分と装甲とを分けたデザイン思想、360度かそれに近い視界を確保する全周スクリーンなどで、『機動戦士Zガンダム』以降のガンダムシリーズなど後の作品でも採用された。特にムーバルフレームは広い可動範囲を実現できる構造としてなくてはならないもので、現実のロボット開発でも採用された先進的なコンセプトだったといえる。