9月7日に『メカニックデザイナーの仕事論』(光文社刊)発売を記念して、大河原邦男さんのトーク&サイン会が行われ、天候の悪い中、沢山のファンの方が大河原さんの本を手に池袋コミュニティ・カレッジに集いました。
井上さんの司会進行のもと、大河原さんが大きな拍手に迎えられ登場。
池袋は大河原さんにとって学生時代にアルバイトしていた縁ある場所だそうで、トークショーはそんな大学時代の思い出話からスタート。
タツノコ時代には中村光毅さんより時間制約の厳しいアニメならではのデザインテクニックを伝授され、メカニックデザイナーとしてデビュー。
メカデザインの時はアニメ制作、商品開発の両サイドの要望にこたえるために誰でも知っている物の形をデザインに取り入れたり、自らモックアップ(模型)を製作してプレゼンするなど、ご自身の経験から編み出した技術を紹介されました。
途中、大河原さんがオリンピックのエンブレムをデザインするとしたら?という話題になり「真ん中ハロにしちゃうかもしれないですね」と答え、会場を沸かせる一幕もありました。
今回のトークでは大河原さんの希望で質問時間が30分と長めに設けられており、ファンからの長年の思いや疑問が次々と投げかけられました。
「一緒に仕事をしやすいメーカーさん、しづらいメーカーさんは?」という突っ込んだ質問も飛び出し、大河原さんは「タカラ(現・タカラトミー)さんに居たサンライズの創立メンバーだった方がダグラムやボトムズなどデザイン的に商品化の難しいロボットを、これでいこうと色々とプッシュくれて仕事がしやすかった。」と回答。
上野の森美術館で開催されているメカニックデザイナー大河原邦男展の目玉の一つ、機動戦士ガンダムF91のデザインに関しての質問ではガンダムに見える限界に挑戦し、富野由悠季監督、安彦良和さんと久々の三人による仕事ができた事が面白かったと語られていました。
最後の「メカ、ロボットの実践性、実用性とカッコよさの比率配分は?」という質問に大河原さんは
「アニメは理屈が分かっていて(現実から)はみ出すことは許される。
視聴者であるお子様の脳裏に何かを残して、何かの種をまく。それが大人になったときに自分の仕事の糧になるようなメカデザインを作り出すことが一番の仕事。
ネジ一本からすべてのメカのデザインをして世界観を作ることがメカデザインの醍醐味」と仕事論で締めくくられ、トークは終了。
その後にはサイン会も行われ、来場したファンは大河原さんと言葉を交わしながらサインを貰い、熱い握手を交わしました。
■メカニックデザイナーの仕事論~ヤッターマン、ガンダムを描いた職人
価格:740円(税抜)
サイズ:新書判
発売日:8月18日
仕様:4色口絵4ページ+本文216ページ
ISBNコード:978-4334038748
発売・販売元:光文社
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