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2021.12.20

クリエイターインタビュー 第7回  望月智充<後編>

「勇者シリーズ」のインタビュー企画第3弾は、『勇者指令ダグオン』の監督を務めた望月智充さんが登場。後編では、『勇者指令ダグオン』、勇者シリーズ発のOVA『勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年』について、作品のこだわりや当時の思い出を語ってもらった。
 

――『勇者指令ダグオン(以下、ダグオン)』は、勇者シリーズとしても、かなり路線が変わりましたね。


望月 『ダグオン』では、人間がロボットに乗り込むのではなく、ロボットと一体になるという部分がそもそも違うんですが、オモチャの方から見れば同じなんです。ダグテクターという、キャラクターの着るスーツが増えたというのがあるんでしょうけど、ロボットが合体して強化されるというのは全部同じだったので。変わったと言えば変わったけど、ロボットの構成などは同じだったのではないかと思います。


――作品を引っ張っていく主人公をはじめとしたメインキャラクターの年齢なども、これまでのシリーズに比べると高くなっていますが、こちらはどのように決まっていったのでしょうか?


望月 その辺りは、私の方から何かをしたいとか、そういうことを言ったわけではなく、監督として入った時点で「次の主人公は高校生で行く」というのが決まっていました。だから、それまでの作品との違いというのは何も意識せず、「今回はそういう設定なのね」という感じでした。すでに世界観は決まっているわけだから、私の仕事としては、キャラクターを絶たせることと、各話数のストーリーを考えていくという方に重点を置いていた気がします。シリーズとして、視聴率が下がり始めていたのもあって、ちょっと変えようかという気運も影響していたのではないかと。ダグテクターという、主人公の変身アイテムが増えたのも、玩具の方でそう決まっていたので、その通りに作っていったという形で。


――監督の特色から新しい方向性になったのかと思っていたのですが、そういう流れではなかったということですね。


望月 むしろ私が監督として選ばれた理由が、「主人公を高校生にするから新しい監督に任せよう」という流れからだったのかもしれません。


――勇者シリーズの開始当初は、「お母さんが安心して子供に見せられる番組」というようなところから始まりましたが、少しずつ変化してきて、『勇者特急マイトガイン』あたりから女子ファンもつき始めるという流れになっていきました。そんな中で、局側も視聴率を気にするようになっていったということなんでしょうね。


望月 実際に脚本作業に入った頃には、「どのロボットが何話で出る」というような1年間のスケジュールは決まっていたので、こちらでそういうことは何も考える必要が無かったです。逆に、男子高校生ばかり7人の主人公がいるので、ロボットとどうストーリーに絡ませるか、性格やキャスティングを含めて、わかりやすい特徴を全員につけていくということを自分の中ではテーマにしていったという感じでしょうか。そのため、ちょっとわざとらしいくらい、各キャラクターの性格はわかりやすくしました。


――学園ドラマをやっているという感じで、だいぶ勇者シリーズとしては路線が変わって女性ファンが多かった印象がありますが、そのあたりに関してはどのような印象を持たれていますか?


望月 あの頃は、「腐女子」という言葉はまだ無くて、「やおい」と呼ばれていましたね(笑)。そういう女性ファンは、すでに結構前から一大勢力になっていたので。ただ、別にそういうファンに受けようとかは考えていなくて。むしろ、OVAを作った時に、ターゲットがそっちにいっていたことに、こっちが驚いたくらいの感覚でしたから。結果的に、OVAの方はそういうファンを強烈に意識して作ったんですが、TVシリーズの時は全然そんな色気のようなものは無かったです。自分としては、普通に勇者シリーズというものの一作品として、余計なことは考えずにちゃんと作っていました。


――敵が宇宙人で、その見せ方も面白い形でした。


望月 宇宙人を敵にしたのは、一方的に楽しみながら順繰りに地球を侵略しに来るという見せ方ができるからです。「倒していい相手」という敵を作って、毎回1種類ずつ倒していく。そうすることで、人間同士の戦いや葛藤のような複雑になるドラマを入れなくてもいい。メカの種類が多くて情報量がたくさんあったから、ストーリーはシンプルに、わかりやすくしたかったんです。そういう意味では、宇宙人が登場するという部分も含めて『ウルトラセブン』を意識していました。今思うと、主人公の正体がガールフレンドにバレるというのも『ウルトラセブン』まんまですよね(笑)


――OVA『水晶の瞳の少年』の路線に関しては、どのように考えられていたのでしょうか?


望月 OVAはタカラ(現:タカラトミー)ではなく、ソフトメーカーのビクターが主導だったと思います。要望としてもキャラクターものにしたいという話で。ロボットは宇宙に帰ったので出さないけど、ダグテクターにはなることができるという、TVシリーズの最終回から繋がっている話にしました。OVAということで、7人がそれぞれかっこいいシーンがあるように心がけたんですが、カイはどんどん変なヤツになっていって(笑)。声を担当していた子安(武人)さんが、どんどん面白い、変な人にしてくれるので、そっちは多少暴走気味ではありましたけど。最終的には、精神力で産み出した幻のロボットを出すという、OVAらしく今までとは違う感じにしていきました。


――ダグテクターのイメージも変わりましたね。


望月 TVのままだと絵がちょっと単純過ぎるので、同じものなんですがデザインは全く変わってしまってます。OVAで印象深いのは、初めてCGを使ったこと。私自身もあまりCGを使う作品をやっていなくて。あの頃はまだCGカットをフィルムにキネコしていたので、使用するカット数にも制限があり。最後の半透明のロボットにCGを集中して使ったという感じでした。まさに黎明期だったので、「動いているのに手元にセルがない」というのがすごく不思議な感じだったのを覚えています。


――『ダグオン』は放送から25年が経ちましたが、『超勇者展』を開催した際には、多くのファンが訪れて、まだ高い人気を誇っているのがわかりました。それこそ、女性ファンだけでなく、当時子供だった男の子が成長して、喜んでくれている。未だにそういうファンがいることに関しては、どのような感想をお持ちですか?


望月 ファンがいるのはありがたいですね。忘れ去られたわけではないことが、本当に嬉しいです。例えば、自分自身を考えても、やっぱり大人になってから子供の時に観ていた『ウルトラQ』なんかを見返して、懐かしがったりするわけで。自分が小学校1年生で観ていたころの気持ちは、年を重ねてもやっぱりあるんじゃないでしょうか。今は、アニメは大人になっても観て楽しむものですから。そういう意味では、子供の頃に見ていたファンが、成人して、中年近くになって、やっぱりたまに観直していたりするのは嬉しいことだと思います。


――最後に、『ダグオン』ファンの方々にメッセージをお願いします。


望月 『ダグオン』はそんなに細かいことはこちらもあまり覚えていないんですが、やはり1年間のシリーズはけっこう大変だったなと思いますね。私の前の監督の、谷田部(勝義)さん、高松(信司)さんはそれを3年続けてやっていたわけで、本当に凄くて信じられないです。1年間かける作品は、常にコンテからアフレコ、初号まで全部並行しながら動いているわけで、本当にやることが多くて疲れ果てていた印象があります。特に勇者シリーズは、半年以上前からメカやキャラの設定に入っていたので、実質的には1年半以上かかりきりでやっていたわけで。メカは丁寧に出していたつもりだったので、タカラからは特に何も言われなかったと思いますが、テレビ局の方からは視聴率のことでテコ入れできないかと言われ続けました。まあ、辛いことも多かったんですが、内容に関しては最初からシリーズ構成の荒木(憲一)さんと一緒に決めた路線をきちんとやれたので、自分としてはやってよかったと思える作品でした。そういう意味ではファンの皆さんに、今もう1回通して見て貰ったら面白いんじゃないかなと、そう言ってみたい気持ちはあります。時間が経てばイメージも変わったりするし、記憶と全勢違うかもしれません。自分もそういうことがよくあるので、また久しぶりに観れば楽しいんじゃないかと思います。



望月智充(もちづきともみ)
1958年12月31日生まれ、北海道出身。アニメーション監督、演出、脚本家。
亜細亜堂に入社し、アニメーターを経て演出、監督となる。現在はフリー。
サンライズ作品では『ダーティペア FLASH2』が初監督。『ダーティペア FLASH 3』、『勇者指令ダグオン』、『勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年』、『セラフィムコール』や『ガンダム新体験 -0087- グリーンダイバーズ』の監督も務める。

 

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