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- コラム
2022.09.15
【第36回】高橋良輔監督旅行記「飛行機雲に誘われて」
飛行機雲に誘われて……その36
兵馬俑を見れば、むろん圧倒される。
「なんとまあ! まあ、まあ、まあ……まあ…」
ちゃんとした言葉にならない。とにかく驚く、驚きそのものだ。
現在1号抗2号抗3号抗と発掘が進みおよそ8000体の俑が立ち並んでいる。目の前に立つ俑全てに色は無い、茶褐色の土の色が剥き出しだ。だがかつての俑はその強壮な肉体の肌色も生き生きと、また衣服もその上の鎧も色鮮やかに着色されていたそうなのである。なおかつである。俑一体一体は現在手ぶらだが、実は一体一体全てが手に何かを持っていたのである。刀、矛、斧、弓、旗、幟、手綱――そう手綱、兵馬俑と言うからには馬もむろんある。騎馬だけでなく戦車もあった。だが現在の俑達の手には一物も無い。つまり付属物は破損欠損してしまったのだ、残念だが修復はそこまで追いついていない。
何らかの科学的な方法で地下に眠る大軍団が手付かずで発見され、その色鮮やかな姿をコーティングし退色を防いでから発掘されたとしたら!? いやあーその壮観!
「見たい! ぜーったい見たい!」
と思わず声に出さざるを得ない。