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【第15回】リバイバル連載:サンライズ創業30周年企画「アトムの遺伝子 ガンダムの夢」
その15「あちらと思えばまたこちら‥‥」
ゲストは野崎欣宏さん
野崎欣宏さんは不思議な人で、私が[虫プロダクション]に入社した頃も既にしてそうだったのだが、社内の定位置に居るという印象がない。いつも何かで飛び回っている。それだからしてその活躍の場も多彩である。なかでも[サンライズ]と[オフイスアカデミー]との間は交互に入れ違いながら仕事をしていた印象がある。したがって、両者の比較や、その他のプロダクションとサンライズとの比較などをお聞きしてみようと、氏の主宰する編集プロダクション[伸童舎]を訪ねてみた。
オリジナルを育てなきゃいけない
高橋「サンライズは[機動戦士ガンダム]っていう成功作があって、アカデミーには[宇宙戦艦ヤマト]っていうビッグヒットがあったじゃないですか。野崎さんは両方見ていらっしゃるので、その辺のことで両者の違いなどをお聞きしたいのですが‥」
野崎「企業ペースのやり方と独立プロのやり方があってアカデミーの場合は独立プロなんです。個人プロデューサーですからね。サンライズの場合はお金がなくて出発して、玩具屋を相手にしながらずっとやって来たからどうしても企業ペース。どっちかっていうとスポンサー主導。サンライズは運がいいんだけど[機動戦士ガンダム]が育ったのは基本的にはバンダイの力だと思います。こう言っちゃあ誰かが怒るかも分かんないけど、いろんな屈折があったにしてもずっと持続して商品を繋げていってるっていうのはこれは大変なことですよ。それは[ウルトラマン]育てるのと同じだもの‥。やっぱそういう状況で育てないと作品って育っていかないですよ。“ガンダムっていうのはこうだ”と主張したらスポンサーだってなかなか付かないだろうしね。それで僕らがやった事っていうのは、ガンダムを定着させる意味では“お客にどういうことをすればいいか?”って、損得関係なく、ただ“オリジナルを育てなきゃいけない”と‥。オリジナルを育てるという意味では環境が良かったんじゃないですか‥。ヤマトの場合は、これはまた別で、プロデューサーがワンマンですから‥。ちょっと人並み外れたワンマンだからさ。すごいファイトはもっていたけどすごい環境でしたからね‥」
高橋「僕はよく知らないんですが、西崎さんの周りにブレーンのような人がいらしたじゃないですか」
野崎「尽くす人がいないんですよ。“サンライズの為にずっと考えて企画して”なんていうタイプの人が‥、西崎プロデューサーの周りにはまず居ないもの‥。僕20年ずっと周りでやってて、食わせてもらってるけどさ。まず、そういう人が居ない‥。お金がある時にはみんな寄ってくるけど作品を育てようという人は・・・・」
高橋「ある意味では西崎さんて優秀な人じゃないですか。優秀過ぎるぐらい優秀じゃないですか。その優秀すぎるぐらいというものが逆に・・・・」
野崎「西崎プロデューサーは異質ですね」
高橋「西崎さんはある意味“異質だ”と・・・・。だけど、別な意味分かり易いわけですよ。1人偉い人がいるっていうのはですね。サンライズは偉いっていう人が目立たないんですよね」
野崎「逆に外から見ると、“サンライズには指導者がいない”って言われるんだよね。企画を持って行っても“また帰って考えます”とかね‥、そこでパンッと言う人がいない。これは言われていた‥」
高橋「今はそんな感じがしないでもないですが、昔もそうでした?」
野崎「昔、散々言われたんだから。我々も一緒に行ったことあるけど、大体3人ぐらいで行くんですよ。実際には誰も決裁権持ってないんだ、全て合議制だから。ここが弱いとこだよね。ずば抜けた人が行って“こうだ、これやらなきゃうち潰れる”みたいな迫力で迫ればね・・・・」
高橋「サンライズの場合は個人プレーというのがあんまり目立たないですよね」
野崎「ただね、西崎さんのやり方というのはアニメの生粋のやり方でいった人は反発しちゃうよ。だって我侭だもの‥。何も人に任せない。だから現場はその分“監督不在”‥。ラッシュ試写に誰も来ないんだから‥。いや、本当だよ。未だかつてあそこでラッシュ見に来た監督って1人もいないよ。全部、色指定でも何でも西崎さんのところへ持って行かないといけない。ああだこうだ弄くり回すじゃない。だからフィルムの制作時間が無くなっちゃったんですよ」
高橋「・・・・」
野崎「それで現場の時間が全くないの。僕たちが“作画の時間がないですよ”って言ったってダメ。外部の監督とかシナリオライターとかそういうの大事にするからね。段取りばっかするんだよ。会議が多いんですよ。“会議でフィルムは出来ない”って何回も言ったんだけどさ」
野崎さんの言葉尻だけを追えば[オフイスアカデミー]への考察、いやこの場合西崎さん個人への考察か‥それは矛盾している。“ワンマン”と言いながら会議が多い。“監督不在”と言いながら監督とかシナリオライターを大事にする。一見矛盾しているようであるが、私にはその物言いの中に表される当時のヤマトの現場の混乱がよく分かる。私の経験したことだけで言えば[サンライズ]の創業者は各々自分の持分を堅持しつつ非常なる合理精神で合議制を貫いていたように見えた。外から見る[オフイスアカデミー]は西崎さんの強力なるリーダーシップに牽引されている印象であった。
監督に好きなものを作らせる
という体制作りはやるべきだ!
高橋「虫プロにいた人たちが創って虫プロ的っていうようなものはサンライズに流れていますか? それとも虫プロとは異質なものなんでしょうか?」
野崎「サンライズは仲間に恵まれているよね。虫プロの錚々たるメンバーが参加してるじゃない。普通は分散しちゃうんだけど要所要所で比較的メインの人がいるじゃない」
高橋「ただあの頃の虫プロのメインというと杉井ギザブローさんだったり、りんたろうさんだったりね。もりまさきさんとか平田敏夫さん、亡くなったけど勝井千賀雄さんとか・・・・。そう言う人は1人も参加していない。そういうことで言うと、第2線、少なくても虫プロでいう第1線じゃないですよね」
野崎「じゃないね、出発はね」
高橋「第2線もしくはファームですよ。2軍ですよ。逆に2軍がよかったのかもしれないですね。だってその2軍の中に安彦ちゃんなんかがいたわけだからね」
野崎「アニメの場合ってさ、今、宮崎(駿)さんが騒がれているけど必ず流れがあるじゃないですか。“こういう時代とこういう時代”っていう‥。我々がヤマトをやってる時は日の出の勢いだったからその時なんか逆にサンライズは霞んでいたでしょう。“手伝いましょうか”なんて言われて手伝ってもらったぐらい、当時のサンライズは仕事が無かった。その後ヤマトのブームが終わって今度はガッと入れ替わった時はサンライズの時代が来てる‥。必ずなるんですよね、時代の流れの中でね」
野崎「‥‥サンライズはある程度監督を大事にしているじゃないですか。それは大事だと思うんだよね。“演出”というのは基本的にそこが映画作りのキーポイントだから。そこを大事にしないとダメだと思う」
高橋「それは西崎さんということですか?」
野崎「いやアニメ界全体が。だってたまたま宮崎さんが[ジブリ]で成功しているけど、それまでは良い作品作ったって散々苦労してるじゃないですか‥。お金無くてスタジオを転々としてさ。‥それで今の宮崎さんがある。だけど本当に“会社が監督に好きなものを作らせる”という体制作りはやるべきだよね。サンライズはそれをやろうとしたじゃないですか。現実に“オリジナル”ってそういうことでやってきたじゃない。それは大事だと思うんだよね」
サンライズは制作費というのは“絶対死守”ですよ
野崎「‥しかしサンライズは制作管理はすごかったね」
高橋「今ね、そこが緩いんですよ」
野崎「だろうな。昔は厳しかったよね。すごい厳しかった」
高橋「厳しい、と言っても僕はあれがいいと思うんですよ。最近、杉井ギザブローさんと会った時にもう少し制作的な枠をはっきりさせてその中で“モノを作る”ということをもう1回やってみたほうがいいという話をしていましたけれど。‥‥言う人が杉井さんだから可笑しいですけどね。ある意味では杉井さんが一番お金掛かる監督かもしれない(笑)」
野崎「でもサンライズの場合はね制作費というのは“絶対死守”ですよ」
高橋「あの頃はそうだったんですが、今は全然違います」
野崎「あ、そうなの。そんなに楽なの? まあ一時富野作品で6000枚ぐらい使っていたからね」
高橋「私も使っていました‥(笑)。でも、お金なんてものは湧いてくるものじゃないから、制作管理をもう1回徹底しないと・・・・創業者は虫プロがどうして倒産したのかよく知ってるから、創業当時はそれを反面教師にして制作管理をびっちりしたわけですよ。ところが成功しちゃってからは今は緩いですよ。でも[東映動画]っていうのは成功しようがしまいが制作管理は緩まない。これはやっぱり伝統だと。1つの遺伝子だと。脈々と生きている・・・・」
野崎「それは[サザエさん]と同じだよ。相変わらず1枚50円でわーっとやってさ(笑)。流れ作業でずっとやって。あれ工場だから。それでも視聴率トップなんだ。どっちかなんだよなあ」
高橋「川畑(栄一・虫プロ社長)さんは誰1人社員のクビを切れなかったでしょう。1年働かない奴だって切れなかったじゃないですか(それは自分だ!)。今のサンライズも誰も切らない。人を絶対切れない。それはサンライズの“何か”と虫プロの“何か”がどこかで繋がっているんでしょうかね」
この連載を始めてから色々な方が『サンライズは虫プロを反面教師にして‥‥』と言う証言をしてくれたが、今のサンライズにその“反面教師”の時代を知るものは既に居ない。しかし意識するとしないとに関わらず遺伝子は生きて繋がっているのかもしれない。それがもし繁栄の裏側で予算管理と人事管理の甘さとして現れてきているのだとしたら、それは危険ではある。
日本で今一番人がいないのは頭の部分
野崎「方向変えた方がいいって‥。工場なら工場で生産性上げなきゃならない。東南アジアへ行ったってどこ行ったって、“作る”ってことは何処でも出来る‥。一方の“創作”というものはいくらお金を投入したって返ってくるものが分からない“未知なるもの”なんだから‥。これは賭だから。サンライズは金のない時に必死に創作してさ、金なくてもみんな集めてでも泣いて頼んででも血を出してもらったわけですよ。それで今日があったわけだから。ただ今やるべきことは‥、“作る”ってことはもうあきらめた方がいい。逆に才能ある集団に金を投資して決まったらそれを現場に流していけばいいんです。
そういうことをやるべきだと思うんだけど“企画”が今無いじゃないですか。原作モノなんてのは虫プロでも一番揉めたじゃないですか。“原作モノ穫るか?手塚さんの作品で行くか?オリジナルで行くか?‥”って。それで原作獲って一応ヒットしたものもあるけど、基本的には会社に利益が出ないってことになったでしょう。だから例えば[犬夜叉]やってたって、利益出てるかどうか知らないけど、決まった枠の中でやって・・・・やっぱりサンライズ作品じゃないですよね。フィルムの何%か権利はあったにしても原作は出版社のものだし。そうなればね‥。
今一番大事なことは[HONDA]が自動車だけじゃなくてロボットに手を出したでしょう。(これサンライズとよく似てるんだよね‥)ロボットが今商売になって来てる。それは凄いことですよ‥。あの当時は[HONDA]の中でも“ロボットなんて道楽だ”って云われてたんだから。だからサンライズもロボットできたんだからロボット専門メーカーになるんだったらもっともっと新しいものにチャレンジして金使ってさ、“作る”のはもう任せた方がいい。決まった制作費流せばどこでも出来るんだから‥。
今、週に80本もテレビにアニメが流れてて、韓国でも中国でも制作シフトは全部敷かれている‥。日本で今一番人がいないのは頭の部分なんですよ。サンライズもそうなんです。監督とかシナリオライターとかがどんどんアイデア出して“お金貸して下さい、返しますから”みたいなね。そこまでやらなきゃダメだね。逆にそれが出来るんだもの。今映画作りってみんなお金を借りるんだからね。(銀行は貸さないけど)スポンサーはいるわけだから。今一番大事なのは(作る事はどこでも出来るんだから会社としてモノを作る事より)スターを作らなきゃダメだよね。モノ作りのね。ロボットと限らず次の世代ないし、今ヒットするものをね」
高橋「それに関して云うとガンダム以前・以後って外から見ると、そういうことをやっていないですか?」
野崎「今は動きが見えないね」
サンライズの場合は
プロデューサーが違う
野崎「苦い経験があるんだけどサンライズの場合は、東映動画のプロデューサーと違うんですよ。東映のプロデューサーは現場はやらない。絵コンテを渡したらもう仕事終わっちゃっうんです。あとはアフレコの立ち会いだけなんです、プロデューサーってのは‥。サンライズの場合は制作の進行管理までがプロデューサーの仕事なんです。これが変。スポンサーのところで打ち合わせした後もまた自分のスタジオへ帰って現場をチェックしなきゃなんない。これ本来プロデューサーの仕事じゃないんだよね。ところがそこを兼任させてるわけですよ。これがしんどかった。だから我々東映の仕事なんかやる時は、東映は打ち合わせが終わると“飲み会”なんですよ。だって終わってんだもの‥。ところが我々はまたサンライズのスタジオに戻らなきゃならない。何回も味わったね、違いを」
高橋「それはサンライズが当初からやってきた事が今まで続いているわけですよね」
野崎「そうそうそう。そういう意味ではプロデューサーは激務ですよ」
高橋「ガンダムまでの前半においての成功っていうのはどうしてなんでしょう? 同じやり方だったにも関わらず今は拙いと?」
野崎「それは労働量が違うもの。すごい働かされたもの。今の制作のことはあまり知らないんだけどさ(噂でしか聞かないんだけど‥)、我々の場合は自分で人に迷惑かけちゃいけないってんで凄かったじゃないですか。シリーズ取ったら“絶対赤出しちゃいけない”“会社に迷惑かけちゃいけない”ってね」
高橋「サンライズのプロデューサーは忙しいと。忙しいけれども根本のところで何かが違っている」
野崎「制作デスクがちゃんとしてれば楽なんだよね。だってあれは実務だから。毎日毎日上げなきゃならないんだよ。それをチェックするのはベテランがやれば済むんだよね」
高橋「東映のアニメーターも結局は家で作業やってるんですよね。サンライズも作監だとかを抜かせばアニメーターは家で作業やっていますけど、同じように回収に行くんでしょう? 東映の進行さんの回収とサンライズの進行さんの回収って違います?」
野崎「東映は運転手がいるんですよ。それでずっと順番決まってるの。受け取るだけでその他の仕事に関係ない人たち。あれは割り切れば割り切れる。東映は昔から“進行さんが朝何時に来る”って決まってるから、それでずっと回っちゃうと」
高橋「それで管理出来るっていうのは東映とサンライズってどっか違うところあるんでしょうか」
野崎「サンライズの場合は進行さんに全てがいくでしょう。2ヶ月の間に1本上げるということに関して。だから要領のいい人は絶対白味ださないの。これは見てると直ぐ分かる。だらしのないのは最後いつも白味」
高橋「それは個人の能力の違いですね」
野崎「そうそう。進行さんの中のやる気というか仕事の要領のダメな人は全くダメだね。いつもモタツクのはモタツク・・‥。東映の場合は今でも全部仕上げなら仕上げ課長が、背景は背景課長がいて横で全部繋がっているでしょう。良い悪いはあるけどね。ある程度の水準上がるものね。だから東映が原作モノやっても赤字ださないっていうのは絶対的に管理されてるから。カメラワークも動画の枚数使わないからね。撮影は大変だけどそれやらせちゃうからね。それが良いか悪いか知らないですよ。でもそうやったからってヒットしないことないもんね。リテークだって2分以内って、フィルム使いすぎたら今でもすぐ呼ばれて怒られるからね」
どうも・・・・虫プロ時代からの先輩、それも現場を同じにした方へのインタビューは、何かが緩みがちであります。先週の[宮原照夫]氏へのインタビューと比べるとはなはだ緊張感に欠けているのが自分でも分かります。野崎さんごめんなさい。今回野崎さんにはサンライズと他社との違いなどを中心にお聞きしたのでありますが、実は時間が許せば野崎さんのアニメのプロデュサーとは違うもう1つのお顔、すなわち編集プロダクション[伸童舎]の主宰者、社長としてのお仕事なども伺いたかった。サンライズは[ガンダム記録全集]を始めとして、それこそ数え切れないムック本の編集で同社にはお世話になっているのでありますが、インタビューの間にお顔を覗かせた[清水章一]さんなどにはかつて私個人もさんざお世話になったのであります。その昔清水さんなどが中心になって編集していただいた[VOTOMS ODYSSEY]は今でもボトムズ関連の仕事には欠かせぬ最高の資料としてボロボロになりながら私の手元にございます。
【予告】
次回は、創立がサンライズと同じ年でもある業界の雄“マッドハウス”の社長:丸山正雄氏であります。数々の話題作を世に送り出す姿は精力的であります。ナビゲイターの質問に“異”を唱える次回に乞うご期待‥!
【リョウスケ脚注】
私も使っていました‥
10年を一昔と言うなら、ゼロテスターの頃は3昔。あの頃は3000枚平均が当たり前だったものが、ダグラム、ボトムズ、ガリアンと進むうちに枚数の枷が緩み、レイズナーの頃はすっかり箍は外れっぱなし。すなわち6000,7000は当たり前、ちょっと使っちゃいましたと言えば“9000枚!”ということをやっていた。嗚呼、なんてこったい!!
それは自分だ!
その昔・・・・[悟空の大冒険]と言うテレビシリーズの演出スタッフを拝命(この頃は虫プロダクションの社員でした)した時のことです。すなわちローテーションに組み入れられていたにもかかわらず、1年間にわたって仕事をせずにスタジオに行ってはトランプやチンチロリンなどの小博打に興じていたことがあったのです。とんでもないことにその間に結婚までしてしまい、見るに見かねた社長の川畑さんがチーフディレクターの杉井ギサブローさん共々自宅に呼んでくれ『なぜ仕事が出来ないの? どうしたら仕事が出来る?』と真剣に相談に乗ってくれたことがあります。ギサブローさんまでが『良ちゃん、結婚もしたことだし、このへんで腹を決めてさ、仕事しようよ』と、優しく励ましてくれました。さすがの私もこれには参ってしまい。底知れない転落人生を免れたと言うお恥ずかしい過去がございます。何で仕事をしなかったには、これまた言うに言われぬ訳があったのですが、これはまた次の機会に。
[VOTOMS ODYSSEY]
自分が監督した作品のムック本なので、手放しに“すばらしい!”というのも何となく照れくさいのだが、やっぱり“すばらしい”と思う。とにかくどのページを開いても編集に携わった人達の熱気がたち込めています。出来れば復刻してもらいたいと思うほどです。シリーズが終了してのあらゆるボトムズ関連の仕事でこの本の世話にならぬものは無かったといえるでしょう。なかでも私にとって忘れられないのは[幡池裕行]氏によって描かれた機甲猟兵の絵に触発されてイメージが膨らみ、結果[機甲猟兵メロウリンク]を誕生させたことであります。(月刊OUT増刊:みのり書房 1985年11月刊)