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- インタビュー
サンライズワールド クリエイターインタビュー
第20回 キャラクターデザイナー 谷口守泰<後編>
サンライズ作品のキーパーソンとなったスタッフに、自身が関わった作品の思い出を伺うクリエイターインタビュー。
第20回のゲストは、2023年に放送から40周年を迎えた『装甲騎兵ボトムズ』や2025年に放送から40周年を迎える『蒼き流星SPTレイズナー』など多くの作品に携わってきたアニメーターの谷口守泰さん。後編では、キャラクターデザインを手掛けた『蒼き流星SPTレイズナー』への参加の流れやアニメアールでの思い出を語ってもらった。
―――『蒼き流星SPTレイズナー(以下、レイズナー)』についてお聞きしたいのですが、こちらも髙橋監督からのオファーで参加されたのでしょうか。
谷口 『レイズナー』のキャラクターラフを作ったときは、まだ誰が監督なのか知らなかったんです。簡単な設定やあらすじをもらってラフを作ったら、髙橋監督だったわけですね。
―――主人公・エイジのデザインで参考にしたものはあるのでしょうか。
谷口 タツノコプロの『未来警察ウラシマン』という作品から影響を受けていて、デザインの参考にさせてもらいました。
―――『レイズナー』ではエイジたちが作中で成長した姿になりますが、そのデザインについて髙橋監督とお話はされたのでしょうか。
谷口 基本的にレイズナーのコックピットに座っているから、外へ出したほうがいいんじゃないかいう話はしていました。成長して、やっとコックピットから出たなというのよく覚えています。
―――コックピットから外へ出るというのをかなり待ち望んでいたんですね。作画をする上で髙橋監督からオーダーはありましたか。
谷口 ありましたね。当時ブルース・リー主演の『燃えよドラゴン』があり、そこからトンファーを使いたいという話があってエイジに持たせることになりました。メカのシーンは毛利(和昭)くんや吉田(徹)くんに任せていましたね。皆好きなように描いていたし、だからこそすごいものが出来上がっていたんです。ただちょっとやり過ぎじゃないかなとは思いましたけどね(笑)。
―――髙橋監督の作品作りで記憶に残っていることはありますか。
谷口 『装甲騎兵ボトムズ』でキリコが喋るシーンなのに全然セリフがないことがあって、すごく新鮮に感じたんです。気になって髙橋監督に理由を聞いたら、時間が無くてセリフが思いつかなかったからそのままになったということで、これにはびっくりしました(笑)。
―――アニメアールは第一線で活躍されているアニメーターを多く輩出されています。
谷口 そうですね。アニメアール出身だと沖浦(啓之)くんは、絵は緻密ですごく上手いんだけれど、その分時間もかかっていました。うちの中では珍しい描き方をするタイプで、「まだこの仕事をやってるの?そんなに時間をかけられないよ」みたいなことは沖浦くんによく言っていました(笑)。沖浦くん含めて、皆にはアニメアールでやっていって欲しかったという思いはありましたが、東京に出てやってみたいというのもわかるので、そこはもう自由にさせていましたね。といってもやっぱり寂しかったですけど(笑)。今でも大阪に来た時にはアニメアールに顏を出してくれることが多いですよ。
―――アニメアールで仕事を続けてこられて特に楽しかった思い出はありますか。
谷口 いつも楽しかったですね(笑)。うちは明るく、ワイワイと好きなことをやろうという雰囲気で今まで続けてきましたから。仕事でも特徴があって、皆しんどいカットを先に取っていくんです。簡単なカットはいつも残っていましたね。
―――作画がアナログからデジタルへ変わっていく変化はどのように感じられていましたか。
谷口 まず、デジタル作画というもののイメージが無かったんですよ。アナログでずっとやってきたというのもあり、最初はあまり好きじゃなかったんです。と言っても今は皆デジタルで描くようになりましたけどね。昔のデジタル作画は手描きに比べて薄っぺらいように感じていました。絵が持つ重さといったらいいのかな、それが全然出ていなかったんです。
―――アニメーターを目指す方へメッセージをお願いします。
谷口 アニメーターというのは個性があったら駄目なんです。様々な絵を描けるのがアニメーターなので、個性的になりすぎないようというのは覚えておいてほしいです。年齢的に私は女の子の主人公やキラキラした衣装を着た女の子なんかは描けないんですが、それだけがアニメーションというわけではないので、幅広い技術を磨いてください。
―――今後のお仕事についてはどのようにお考えでしょうか。
谷口 年齢が年齢なので、作業量はできなくなっているんですが、それでも生涯現役で描き続けるつもりです。
谷口守泰(たにぐちもりやす)
1943年生まれ。兵庫県出身。アニメーター。アニメアール代表取締役。タツノコプロや東映動画、サンライズの作品に参加し、1970年代末にアニメアールを立ち上げる。作画監督として『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』など多く作品に参加しており、『蒼き流星SPTレイズナー』『機甲猟兵メロウリンク』ではキャラクターデザインを手掛けている。
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